20日(木)上映作品について

「ワタシの王子」
2005年、“青森の監禁王子”こと小林泰剛の事件が報道され、小林の暴行歴から生い立ちまでが週刊誌・ネット等を賑わしたとき、私は小林の“切羽詰まった感”に自分と近いものを感じた。自分と世界の溝を埋めようとする行為が“表現”なら、小林もまた、表現していたのだと思う。あまりに破綻していたが。私が小林に近いと感じたのは、この世に存在しない“絶対的な愛”というものを、見つからないと知りつつ求める行為、といったところか。小林と世界の溝、私と世界の溝、小林と私の何が同じで何が違うのだろうか。

「愛のイバラ」
<あらすじ>
不思議ちゃん好き男子・山田はある日、道端に座っていたマキに、電撃一目惚れする。マキは電波の指令を受けて無茶な行動をする、電波系不思議ちゃんであった。山田は、マキの友人に超高飛車に危険信号を送られるが、山田自身も天然のためそれに全く気付かず、マキへの想いを募らせる。そして、遂にマキの妄想はタクシーで疾走する!!
<制作意図>
“8ミリフィルム×自家現像×ゲリラ撮影”による、「実験劇映画」!制作当時、コダック社までも製造をとりやめる、と発表した8ミリフィルムを素材とし、フィルムの物質としての質感を出すため・予定調和でない手動ライブ感を出すために自家現像をし、その結果として現れたフィルムの傷・汚れ・光のムラによるきらめき、を物語の疾走感に合わせて最大限に表現した。「フィルムの実験映画」としてのドラマ、を撮ったものである。